事件解決編

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~青髭子爵の告白~ 「ここは書斎というよりは監禁部屋、もしくは処刑部屋と言った方が正しいかもしれませんね」  書斎と聞いていたのに小部屋には本棚はおろか、本の一冊も見当たらない。ここには簡素なベッドに丸椅子が一つ置いてあるだけだった。  それよりも、皆の目を引いたのは、白壁の所々に飛び散る赤黒い染みだった。そして、木製の茶色の床にも液体を大量にこぼしたような、薄気味悪い真黒な染みが滲んでいる。 「森園子爵、こちらの椅子へとお座りください」  やや興奮気味の森園公業を落ち着かせるため、麗治郎は彼を丸椅子に座らせた。その隣では聡次と聡吉が風神雷神よろしく、睨みを利かせて立っている。 「さぁ、この状況をご説明していただきましょうか。おっと、失礼。僕は探偵の青山麗治郎と申します。生前、梅津さんとも少しだけですが面識がありました」  面白くなさそうな表情を浮かべ、公業はちらりと麗治郎を見やる。 「あぁ、君が例の探偵か。警視庁にいる知人から、梅津のことを嗅ぎまわっている輩の存在を知らされていたよ」 「それなら話は早い。あなたはこの部屋に百美人の娘さんたちを連れ込んで殺した。そうですよね?」  麗治郎がずばり核心をつくと、公業は顔色一つ変えずに事件の真相を語り始めた。
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