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「 啓介さん、毎週寄ってくれるんです。
ある事情で知り合ったんですが、
初めはずっと、おじさんって呼んでいたんだけど、
いつの間にか、メールのやり取り、
気が付くと毎日の様に交わしてて、
親しくなってから、啓介さんって呼ぶようになって・・・。」
「 私、お父さんいないんです。
小さな時に、両親離婚しちゃって・・・。
父親の顔も覚えて無くて、
女の人作って出て行ったみたいだから、
男の人苦手で・・・。
でも、啓介さんすっごく優しくて、
気が付くと、お父さん見たいに色々相談したり。
甘えていました。」
「 そっか。 あいつらしいな。」
啓介の身を案じながら、
二人で会話していると、
慌てた様な足音と共に、強引に扉を開く音が響いた。
「 バターン!」
「 啓介!おい、大丈夫か!」
大和だった。
「 おう、一樹! 様子は?」
「 落ちつけよ。大和。」
「 だって、命危ないんだろう!」
「 若い女かばったって?」
「 あんたか!」
「 大丈夫だって、今、意識が無いだけで
命に別条はないらしい。」
すずは驚いた様子で、
大和の顔を見て、頭を下げた。
「 えっ。」
「 ・・・・・・ 」
大和も一樹と同じ様に、
すずの顔を見た瞬間、
体が硬直し、とても驚いた表情をしていた。
「 あの、私のせいで本当にごめんなさい。」
「 すずちゃん・・・。」
「 おい。大和!
少し外で頭冷やそう。」
一樹が病院に向かう途中のタクシーの中で、
大和に連絡を入れていたが、
事情説明に言葉が足らず、
心配性な大和が、事を大きく考え過ぎていたようだった。
病室での大声で、
看護師達も姿を見せ始めた為、
一樹は大和を連れて、
外で一服するため病室を出た。
「 一樹。、あの子・・・。」
「 ああ。
俺も驚いたよ・・・。」
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