10人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒達は放課後、細い針金に花びらを絡めてサクラの花を作り上げ、
前日の夜に、直ぐ取付が出来る様な加工を施していた。
「 手元で見ていると、物凄く歪だけど、
離れてみると凄い!本物見たいだね。」
「 そうでしょ。針金で上手く立体感が出てるからだよ。」
「 喜んでくれるといいね。」
「 きっと、癌も治るよ。」
「 うん。」
任意のボランティアだったが、気が付くとクラスの全員が参加していた。
「 3年生達が、大きな垂れ幕作ってくれたよ。」
「 1年生達も、はりがね桜花完成したって。」
何とか下準備は揃った状態で、
明日を迎える事となったのだが・・・。
「 ああー。」
「 明日、雨だぞ。くそーっ。」
一樹は携帯で、最新の天気予報を見ていた。
「 何とか朝だけでも持ってくれればいいのに、
そうだ!
ジャンジャンジャン。できたぁ!」
「 なに作ってるの。」
「 てるてる坊主だぁ。」
「 なにその変な顔。うふふっ。」
「 なんか、一樹に似てるな。」
「 おい、啓ちゃん。」
「 わぁっ。本当だ。」
「 えーっ。恭子ちゃんまで・・・。」
楽しい時間、忘れられない瞬間になった。
サクラ爺ちゃん、喜んでくれるかな・・・。
そんな、想いで
学生たちが一つになった瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!