二種類の感覚

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 二つ目に感じるのは、生々しいほどのリアルな魂…。 それは前者のように死後何百年何千年と経ち、神に等しき力を持ったような大きな存在ではなく、もっと矮小な、生気を感じてしまうほどの“人間”の感覚だった。 それは、ある朝私がよく利用するH駅からバスに乗ろうと、駅のロータリー前の階段を歩いているときだった。 ひとりの少年が、地面にうずくまってしまっている。 ふつうに、中学校のどこかのジャージを着た、どこからみてもふつうの少年だった。
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