小学生の頃の私。

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小学生の頃。 自覚は無かったが、すでにホラーだの何だのが好きだったように思う。 名作童話や漫画本などを山積みした書棚に混じる、『怪談』の文字が嬉しそうに踊る何冊もの本。夏になれば、怖い話特集の組まれた雑誌を手に入れて、むさぼるように読んだ。図書室でのお気に入りは『シャーロック・ホームズ』シリーズとポーの『黒猫』だ。 平成の現在ではどうなのか分からないが、その頃のおなじみ『学校の七不思議』を自分でも調べてみたくなった私は、調査をしたことがある。学校で怖い体験をしたことが無いか、何日もかけて友だちや下級生に聞いて回ったのだ。 トイレの花子さん。夜になると動く理科室のホルマリン漬け。教室の床に開いたブラックホール(笑) 校庭はもともとお墓だったとか。ほとんどが定番のありふれた怪。二宮金次郎や音楽室の怪談は無かったが。 幾つも集まったのは、旧体育館にまつわる話。 私の通っていた小学校には体育館が2つあった。その頃の1年前に校舎が増設され、同時期に新設された体育館。総工費が1億円などと聞かされ、未知の数字に皆でどよめいた記憶がある。 新体育館のまばゆさに比べると、旧体育館は日もあまり射さず、面積も半分ほど。すぐ隣にあるトイレも古びていて暗くて臭くて、絶対に利用しないという女の子もいた(広いので私は結構好きだった) 旧体育館の怪談だが。 入り口の鉄の扉に血のシミがあり、拭いても拭いても浮き出てくる(この不可解なシミは私も確認) ステージの緞帳の影という影から、子どもがのぞいていた。 誰もいないのにリコーダーの音が聞こえる。ボールの跳ねる音がする。など。 他にもあった気がするが忘れてしまった……。旧体育館に何かが住み着いていたのは確かなようだ。 『七不思議』どころじゃなく10以上も体験談が集まってしまったところで、とりあえず調査は止めた。
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