小学生の頃の私。

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トイレの花子さんには私も会った。 個室の扉を3回ノック。そして「花子さん、遊びましょ」と尋ねる。そうすれば花子さんが答えてくれるという。 もちろん、校内のあちこちのトイレで試したが、彼女に会えたことは無かった。その日までは。 夕陽の射しこみ始めた放課後。遅くまで居残りをしていた私は、帰る前にトイレに寄った。先述した、完成して間もないピカピカに新しい校舎のトイレだった。 ふと思い出して。花子さんを呼んでみた。 「はーなこさーん、遊びましょ!」 先程から耳が痛いほど、しいん、としていて。静寂が返ってくるものかと。 「……は~い……」 か細くも無く明るすぎもせず。私に応えたのは知らない少女の平坦な声。 私以外に誰もいないのは、とっくに確かめた。カラカラに乾いたピンクのタイルを踏みしめ、トイレの扉に謝りつつ逃げた。 花子さんも新しいトイレのほうが好きなのだな、と後になり考えた。
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