夜闇に震えた日

28/52
302人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
  「…こんな俺に礼を言うのは間違ってます」 「え?」 「あなただって気づいているはずでしょう?俺が、あなたに怖い思いをさせていた張本人だって…」 ところなさげに彷徨う視線。 尻つぼみになっていく言葉。 情けないくらいに声が震える。 嫌われて当然なはずなのに、なのに自分の過ちを打ち明けている今も、俺は彼女に嫌われたくないと思っている。 許されたいと思っている。 しかし、理不尽な願いに吐き気を覚えるのは自分のほうで。グッと握り締めたこぶしにも力が入る。 「…すみませんでした」
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!