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接待は料亭の離れで開かれた。
「本上様、こちらは先日配属になった…」
「佐田です。」
係長の言葉を合図に名刺を差し出す。
「ふ~ん、佐田 岬君ね。」
自分の名刺と交換に相手が名刺を差し出した。
岬は名刺を受け取り、確認する。
ー本上 雄大ー
肩書きは専務となっている。
岬の緊張が一気に上がる。
「ああ、専務って言っても名前だけだから、気楽にして欲しいな。」
岬の顔を見ながら本上は、笑った。
「それから、鈴木係長、今日は個人的に乗る車を探しているだけだから、これはやり過ぎでは?」
この料亭が気に入らないのか本上は鈴木係長に苦笑いをする。
「いえ、実はこの佐田は接待が初めてなので余り堅苦しいと疲れるかと思いまして、本上様には悪いとは思いましたが、佐田君には少しでも楽しく、営業して欲しかったので、本上様の胸を借りられればと…」
「ああ、そういう事ですか。それなら、構いません。私も、今日は個人的なわけですから、楽しく飲みましょう。」
本上の笑顔に岬の緊張が少し取れた。
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