テストコース

3/5
前へ
/174ページ
次へ
「このコースは耐久力を見る為のコースだから、難しい処は無いです。私の友達はスピード狂で公道で走れない分ここで発散させるんですよ。本当に困ったものですね。」 岬は何と答えるべきか苦笑いをするしかなかった。 「雄大、珍しいな、お前が転がさないなんて。」 「ああ、岬を独りにはしたくない。独りにするとお前ら有ること無い事岬に話すからな。」 「有る事無い事って、俺達真実しか話さないじゃん!」 「それが怪しいんだ。岬ピットに見に行くか?」 何も出来ない岬は本上に着いて行った。 「わー、懐かしい。」 ピットに入ると岬は嬉しそうに車に近付く。 「やっと笑いましたね。」 本上は笑いながら岬の後に立つ。 「あっ、すいません。」 「謝る事無いです。やっぱり男の子ですね。」 「ええ、僕は余り運転はしませんが、この真剣な雰囲気は好きでした。」 「過去形ですか?」 「ええ、僕はエンジニアを外されましたから…」 岬は哀しそうに、車を観ていた。 「いつでもここにいらっしゃい。私が付いてればフリーパスですから、岬も遠慮などせずに、この雰囲気を感じたくなったら携帯に連絡して下さい。」 岬は哀しそうに、返事をした。 だけど、多分岬には連絡する勇気はなかった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

482人が本棚に入れています
本棚に追加