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この学園を選んだ理由は無かった。学生寮が有り中高一貫制度が有る事も理由の一つだ。
今の岬には高校受験をする気力が湧かない。
私立で、お金が係るのは判っていたが敢えて止める事はしなかった。
伯母も解っていた。今、中学に通うことは岬には耐えられない。周囲の憐れむ視線に頼ってしまいそうで、岬は恐かった。
これからは自分一人で生きなければならない。
岬を迎える家族は居ない。
どれだけ、耐えれば良いのか、岬にも解らない。
(何時でも帰りたくなったら、帰って来なさい。岬には、私達が付いて居るから)
伯母は優しく微笑む。岬はそんな伯母の言葉に泣きたくなり。
だけど、伯母にも子どもが居る。岬にとってはいとこだ。岬と歳は近い。そして渚と同じ年の女の子が居た。そのことが岬には耐えられない。彼女を見る度に渚を思い出す。
今の岬には、時間が必要だった。
忘れることは出来ない。忘れてはいけない。
まだ幼い岬には、辛い時期だった。
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