異動

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「佐田君、ちょっといいかな。」 係長の鈴木さんが声を掛けて来た。 「はい。」 岬には解っていた。まだ一件も契約を取って無い事だろう。 「今度の金曜に接待がある。いい機会だから、君も主席しなさい。」 決定事項だった。岬は余り、お酒が強くない。強くないと言うより、殆ど飲めないに近い。岬は困惑した。 「あの…鈴木係長、僕は…」 「接待も営業の内だよ。相手方は、御得意様だし、顔繋ぎに居るだけで構わないから。」 係長の言葉に逆らえなかった。 「阪井先輩は…」 「ああ、今回は私が行くから、阪井君は来ないよ。大丈夫ですから、私が上手く相手方に紹介しますから、佐田君は安心して下さい。」 もう断れない。 岬には不安しかなかった。
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