11/11
前へ
/11ページ
次へ
海よ。 数多の人間を呑みこんできた海よ。 俺は、お前では死ななかった。 最愛の人に撃たれて死んだ。 どうだ? これで少しは、お前に反旗を翻したんじゃないか? 俺は崖からゆっくりと落ちていく。 ん? 何だ、泣くなよ。 いつもみたいに笑っていてくれよ。 エミが、まるで子供のように喚く泣き声を聞きながら、俺は落ちていく。 あ。 そうだ。 まだ忘れていたことがあった。 約束したんだった。 あの時、エミに告白した、あの時。 エミ。 俺との最後の約束、守ってくれるかな?
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加