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海よ。 明日、俺はお前に還る。 思えば、ずっと昔から、お前を眺めていたな。誰に言われるわけでなく、俺はここに来た。崖の上から青々しい海を眺め、心を落ち着かせた。 好きだった、この場所が。ストレスを感じたら、すぐにここに来た。昔から、ここには人が近寄らず、静かで俺だけの空間だなって思っていた。でも、最近になって一つ知ったことがある。ここは、生贄が身投げをする場所。かつての生贄たちは、一体どんな気持ちでここから飛んだのだろうか。無念か怨嗟か、そういったものを感じたのだろうか。 海よ、お前は知っているのか?ここからお前に喰われる人間が、どんな気持ちを抱いていたか。 どうにかして、お前に一矢報いてやりたいが、思いつかないな。 「そろそろ行くか」 もう、日が暮れる。俺はエミに声をかけ、腰をあげる。 「そうだね」 エミも俺に言われるままに、海に背を向けた。エミが俺よりも少しだけ速く歩いたので、俺の目にはエミの背中が入ってきた。 「・・・」 お前の姿を見るのも、今日で最後だな。 そう思った途端、俺は足を止め、後ろからエミに声をかけていた。 「なぁ」
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