3幕『帰蝶ではなく濃姫として』

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 気持ちを落ちつかせるため、信長は城内を一周しながら濃姫を思いだす。  まだ13の女性が政略結婚の駒として使われるのはこの乱世では普通のこと。だが、その者たちがどれだけの覚悟で嫁いできているかを考えたことはなかった。  鶴姫の件があったとはいえ、初めての婚儀をだいなしにしてしまった。帰してやるとの言葉も間違っていたかもしれないと自分を責める。  濃姫が心配になり、急ぎ部屋に戻ったが濃姫は眠っていた。せめて一晩だけでも夫婦としてすごそうと思い、濃姫に身をよせて眠りについた。    
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