2幕~明智流奥義伝授~

1/11
429人が本棚に入れています
本棚に追加
/1432ページ

2幕~明智流奥義伝授~

   父の口から出た『松平氏』は、この尾張の右隣にある三河国(みかわのくに)の武将である。  松平は、さらにその右隣にある駿河国(するがのくに)を支配する大大名、今川氏に従属している。尾張に近い西三河に勢力を伸ばした織田家に対抗するためである。  そしてこたび、今川家に忠誠の証として送られるはずだった松平家の嫡男、6歳の竹千代が、驚くことに織田家に送られてきたのだという。  竹千代を護送していたのは、三河の武将、戸田康光。松平に従属している男だ。  護送の一同が道を間違えたのかと父に本気でたずねたが、もちろんそうではない。  康光はこう述べているという。
/1432ページ

最初のコメントを投稿しよう!