奪還

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そうと決まったら。私の出番だ。 「みんな、期間満了日まではきちんと鬼瓦さんのところで勤め上げるんだよ?ロッカーと下駄箱もきれいに片付けてニコスタに来てくださいね」 「ハイ!!」 うんうん。いいお返事だ。やっぱりここのスタッフさんはみんなイイヤツだ。大好きな大好きな20名。 「じゃあ、みなさん午後の作業を始めてください。ちょっと時間押しちゃってるから、急いで。あ、そうだ。鬼瓦さん」 ふと思い付いて振り返る。 「もし、スタッフが集まらなくて苦戦するようだったらニコスタに連絡下さってもいいですよ。ここまで優秀なスタッフはもう揃わないかもしれませんが。それから井原さん」 「は……はぃ」 「山川物流にだけは来ないでくださいね。もう盗まれるのはこりごりなので」 言うだけ言って、私達も車に乗り込む。 ニコスタが長年に渡ってお世話になった仰天商事。きっとここに来ることはもうないだろう。信頼関係って一瞬で崩れるものだ。だからこそ大事にしなきゃいけない。 「さぁ、戻りますよー」
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