4、夏休み

3/6
前へ
/79ページ
次へ
随分と遠くまで来ました。 新幹線と電車とバスを乗り継ぎ、やっと着いた先はーーー 「ここどこ?」 「俺の…育ったとこ。まっ実家みたいなもんかな。」 そう言うと篤は一軒の民家にズカズカと入っていきました。 「ただいまぁ。あれっ、返事ねえな?ババァ遂にくたばっちまったか?」 と勝手に上がり込む篤に私が戸惑っていると、 奥からとってもふくよかな優しい笑顔の女性が出て来ました。 「久しぶりだっていうのに相変わらずだねぇ、あっくんは。」 「あっくん!」 予想外の呼び名に思わず声に出してしまいました。 「ったく、あっくんて呼ぶなって言ってんだろ。大体、俺、いくつだと思ってんの?」 そんな遠慮のないやり取りを私はただただポカーンと見ていました。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加