5、揺れるココロ

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「今日はそこの神社でお祭りがあるのよ。」 フミさんはそう言うとあっという間に私に綺麗な柄の浴衣を着せてくれました。 紺地に赤い花がポンポンといくつか咲いていて着るだけで気分が明るくなるような素敵な浴衣でした。 「あたしの若い時のだし、流行り柄じゃないからどうかと思ったけど…心配いらなかったわ。あやめちゃん美人だもん。良く似合う!」 「そんなこと…ないです。」 「自信もちな。」と背中をバンバン叩かれながら、お世辞だとわかっていてもやっぱり着飾って誉めてもらうと嬉しくなりました。 「お世辞じゃないからね。その証拠にホラ、さっきからどこぞのアホがそこでマヌケ面してボケーっと立ってるだろ?」 フミさんに言われて慌てて振り返ると祭りの準備から帰ってきた篤がそこに立っていました。 「ほら、後はあっくんの出番だろ。とびきりべっぴんにしてもらいなさいね、あやめちゃん。」 私に浴衣の柄によく似た赤い小さな花が付いた髪飾りを持たせて 「あたしもこれから婦人会で祭りの手伝いがあるしその後はそのままお疲れ会。だから今夜は二人で祭りを楽しんでおいで。」 そういうとフミさんは私達を残して行ってしまいました。
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