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けれど、
結局、私は死ねませんでした。
こうしてまだ生きながらえています。
全てから解放されたい。
何もかもなかったことにしたい。
私の存在すらも…
この世から消してしまいたい。
それほどまでの絶望を抱えながらも私は死ぬことができませんでした。
そんな勇気すら私は得ることを許されませんでした。
だから…
自分の体を殺せなかった私は、せめて自分の【ココロ】だけでも殺してしまおう。そう思うことにしました。
とは言え…
どうすれば【ココロ】を殺せるのでしょうか。
暫く考えてみました。
けれど、これと言って思い浮かびません。
「髪切ろうかな…」
失恋で髪を切るなんて単純すぎるかと自分に突っ込みつつも、
長い髪にまだ彼の指の感触が残っているような気がして…
「バッサリ切ろう。どうせなら髪色も明るくして…」
そうと決まれば鉛のように重く感じていた体も少しは軽くなったように思えました。
美容院の予約は後にするとして…
私はまず近くのコンビニへ行くことにしました。
空腹のままではなく、お腹に何か入れてから美容院に行こうと思いました。
けれど家の近くのコンビニに向かいながら通りに面したガラス面に映る自分の姿を目にした時、その場から逃げたくなりました。
そこに写っていたのは背を丸め長い黒髪もところどころ跳ねてなんともみっともない姿でした。
せっかく自分を殺してしまいたいほど変わりたいと決めたのに…
私はコンビニではなくいつも行く美容院へそのまま足を向かわせました。
これまでの自分との別れへのケジメを少しでも早く手にしたくて。
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