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お客様のお見送りを終えて控室に戻った僕は、さっそく花束をプレゼントしてくれた女子の手紙を読んでみた。
手紙には、
「いつも応援しています。
これからも頑張ってください。
3年5組 片桐 優花」
と書かれていた。
花束をプレゼントしてくれた女子が、クラスは違うけれど同学年の女子だということがわかり、たとえ1人でも僕にもファンがいることを知って、とても嬉しかった。
片桐さんは、メガネをかけていて少し地味な感じの女子だったけれど、顔は美人系でスタイルの良い秀才タイプの女子という印象だった。
その後、演劇部を引退して、大学進学を希望していた僕は、受験勉強に取り組んだ。
学校に通っているとき、時々廊下で片桐さんと会うと、僕は声をかけて少し話をするようになった。
「おはよう、受験勉強は順調かな?」
片桐さんも大学進学を希望していて、お互いに受験の話しをしたり、最近上映中の映画の話をしたりと、ごく普通の友達同士のような会話をした。
2月14日のバレンタインデーに、僕は片桐さんからチョコレートをもらった。
実は、生まれてはじめてチョコレートをもらった僕は、とても嬉しかった。
受験勉強で忙しいのに、僕のためにチョコレートを用意してくれた片桐さんに、申し訳ないという気持ちもあった。
大学受験を終えて、僕は3月14日のホワイトデーに、片桐さんにバレンタインのお返しにクッキーをプレゼントした。
片桐さんは、とても喜んでくれたようで、片桐さんの笑顔が印象的だった。
その後、僕は東京都内の大学に合格して上京することになったけれど、片桐さんも東京都内の大学に合格したらしく上京するという話だった。
3月17日に卒業式があり、この日僕は片桐さんにお付き合いしてほしいという話をすると、片桐さんは大学が違うけれど時々会いましょうという話しをしてくれて、お互いのスマートフォンの電話番号とメールアドレスを交換した。
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