第2章

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いつになく入念なリハと彼らの非凡さで無事に収録を終えると、同じマンションに住む5人を送るための古閑の車に乗り込む。 「あれ?タクミは?」 ワンボックスのなんとなくの定位置。自分の隣りの不在に縁が 首を傾げる。 「エレベーターまではいたよな?」 助手席から後ろを確認した静流が不思議そうに言えば 「いちなな病の発作かな」 同じ17歳でも自称ノンキャリの三智長が後部座席で茶化すように笑う。 「ったくしょーがねーな。電話するか」 ママ業に勤しむ凪がスマホを取り出すと「あれ?でねー」耳から外し、スピーカーに切り替えると肘掛にスマホを置いた。 20秒、30秒……呼び出し音が車中に響く。 「……ちょっと見て来る。お前たちはここにいてくれ」 古閑はそう言ってエンジンを切ると、足早に今来た道を戻っていった。 7分ほど前。エレベーターに乗りかけた拓海は強い力に腕を引かれ、メンバーに置いてけぼりをくらっていた。 「なっ!?」 誰だこの野郎!をアイドルポケット(彼らの造語)にしまい咄嗟に後ろを振り向くと、さっきまでのトークゲスト吉永がニコリともせずに拓海の腕を掴んでいる。 「えっ…?」     
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