第3章

3/8
前へ
/27ページ
次へ
「マユ、ごめん。もっといてやりたいけどもう行かねーとなんだ」 滞在約12分。腕の中でコクンと頷く真弓は「タクミ兄に会えたから…もう大丈夫」スリスリと頭を拓海の手首に擦り付ける。安心した時にみせる真弓の猫のような仕草に、 (やっっっっべえ!!!!!可愛すぎで死ぬ×無限大) 心中荒ぶる拓海を知る由もなく、するりホホを上げた真弓は涙を拭うと晴れた笑顔で言った。 「ごめんね、タクミ兄。何か用だったんでしょ?」 「あ?……っと、そう!こないだタッチパネルのペン?マユの部屋に落としたみたいで」 「えっ?それ取りにきたの?ごめんね、気が付かなくて」 「たまたま近くで仕事だったからついでに寄っただけっ 気にすんな。そんなことより、本当に大丈夫か?サインくらい何百枚でも書くから、ちょっと待ってろって言っとけ」 「え…?なんでそのこと…」 (し、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!) 白目を剥きかけた拓海に 「…もしかして中学の時のこと覚えててくれたから?あのときもタクミ兄、寝ないでサイン書いてくれたよね」     
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加