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商店街の片隅で、私は立ち止まり、本を取り出した。
それは大判サイズの古い絵本。
タイトルは
【あんぱんまん】
小学校低学年の頃に、これと同じ本を公民館の図書室で読んだ記憶がある。
その表紙に描かれたあんぱんまんは、今、テレビアニメで大人気の正義のヒーローとは、だいぶ趣きが違う。
なんとも人間臭く、昭和な感じが漂うあんぱんまん。同級生と思いがけない再会をしたような気分。
「ありがとう、ゆごうさん…」
もっともっと、お話ししたかった。私におすすめの本を教えてもらいたかった。
この本をゆごうさんの長い指から、受け取りたかった…
本を抱き締め、私は泣いた。
ひと目なんかどうでもいい。
【完】
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