美青年店主との出逢い

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私は花島なずな。29歳。 2年前に結婚して、今、第一子を妊娠中。ようやく産休に突入したところで、暇を持て余し、ふと 【もしもし、ニコラ!】のことを思い出した。 お腹の子は女の子だと分かったせいもあるかもしれない。 生まれてくる娘に、あの本を読んであげたい!と切に願うようになった私は『探し物』を見つけるべく、古本屋巡りをすると決めた。 え?ネットで探せばいいのにって? …それが妊娠で体質が変わったのかパソコン酔いするようになってしまった。ネットサーフィンなんて無理。 だから、旦那に協力を仰ぎ、電車で行けそうな範囲の古本屋をネットでいくつか探してもらい、プリントアウトしてもらった。 妊娠中だからといって、家に閉じこもるのは良くない。安定期なのだし、運動になるからと古本屋巡りを始めたのだった。 お母さんが、私が結婚して家を出るってなった時、間違えて捨ててしまったんだけど、そう古くはないし、簡単に見つかると思ったのに… 目星をつけていた5件、当たったけど、全滅で。 せめて実物があればと思い、図書館にも行ったけど、倉庫にもなくて。 諦めかけた時、ふと駅前にやってるかやっていないのかわかんないような、潰れかけた古本屋があるのを思い出した。
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