美青年店主との出逢い

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私が子供の頃からあって、日常的に店の前も通ってる。なんで一番最初に思い出さなかったんだろう。灯台下暗しだ。 でも、それも仕方ないと思えるような、出入り口は狭いし、存在感のないお店。 入るのには少しばかり勇気がいる。 【Hugo古書店】 フゴ…古書店。 おかしな店名。 オーナーは不吾さん…とかいう苗字なのかな? 7ヶ月検診を終えたその足で、寄ってみることにした。 多分無駄だと思うけど。 恐る恐るアルミサッシの引き戸を開けてみる。 狭い。奥行きはまあまあある。人がやっとすれ違える程度の通路。両側の壁に設えた書架には足元から天井までびっしりと本が並んでいて、その様子に圧倒される。 大きな地震がきたら、命の保証はできない感じ。 奥には木製のカウンターがあり、レジが置かれているけど、その後ろの本棚にも本がキツキツに詰まってる。 時間の流れが止まったかのような雰囲気。賑わう商店街の中、エアポケットに入り込んだみたい。充満してる古い紙の臭いは決して嫌なものではなかった。 「失礼しまーす」と声を掛けて店内へと進む。 なんか職員室に入るみたい。
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