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「ついでにいくつか児童書や絵本を仕入れてきました。なずなさん、お暇な時に図書館代わりにここをお使い下さい。お腹の赤ちゃんに読んであげるといい」
「…ありがとうございます。ずっと仕事をしていたものですから、家にいるとつまらなくて。お言葉に甘えてまた来ますね。
ところで、本、おいくらですか?」
ゆごうさんはふっと笑って右手をひらひらさせた。
「いや。お代は要りません。
実は僕も読ませてもらいました。僕が買ったのです。それをあなたに、いえ、お腹の赤ちゃんにお譲りします」
「そんな!だめですよ。手間賃も掛かっていますから」
私がショルダーバッグから財布を取り出すと、ゆごうさんは露骨に眉を顰めた。
ここは男に恥をかかせてはいけない、そんな気がして、私は財布を引っ込めた。
「でも、ゆごうさん。なぜそんなに親切にして下さるの?」
私の問いにゆごうさんはにっこりと笑って言った。
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