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恋人との死別をはらんだ悲恋ものは人気がある。
そう思い、このジャンルにしたのは正解だったみたいだ。
毎日増えていく読者、イイネ、コメント。
今までの作品とは比べ物にならない。
「……あー、書くの楽しいな」
数人に読まれるだけでも嬉しいと思っていたけれど、大勢の人に読まれる快感はまた別物だ。
私は、今まで以上に執筆にのめりこみ、暇さえあれば更新するようになっていた。
……ただ。
この小説はたった一つだけ、ある反則をしている。
それは【実話】ということにしていること。
もちろん、彼氏どころかろくに恋もしたことない私に、重い病気の恋人との死別経験などあるわけがない。
これは100%フィクションだ。
でも、実話の悲恋ものは、この小説サイトではものすごい人気カテゴリー。
物語が悲しければ悲しいほど実話がうける。
共感や同情を呼ぶのか、同じような内容でもフィクションと実話では人気が全く違っていたりするのだ。
だから反則とはわかっていながらも、今回だけはズルをさせてもらうことにした。
どうせ本当かうそかなんて、このサイトで確かめる術はないのだし。
それに、同じように実話ものを書いている作品の中にも、明らかにフィクションだと思われるものはたくさんある。
みんな、きっとちょっとくらいうそをついているのだ。
(……今回だけ。この話だけだよ……)
私はそう心に誓い、今日も就寝時間ギリギリまで小説を更新した。
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