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…それから20分くらいで練習は終わった。
結局、何をすればいいかよくわからなかったため、それほどしっかりしたことはできなかった。
ただ、奥田さんや国見さんは割と運動神経がいいのか、シュートもドリブルもそれなりにできている。
逆に私はどれも全くで、私が何をするたび、流れが滞り、気まずい空気になった。
そのたび、その場から逃げたくて仕方なくなる。
20分程度の練習でこれだなんて。
球技大会が今から嫌でたまらない。
「……はあ」
奥田さんたちが2人仲良く帰ったあと、私もトボトボ帰り道をいく。
ものすごく落ち込んだ気分だ。
(……早く家で小説を書こう)
そうすれば、少しは気持ちが晴れるかな。
「ーー笠原さん!」
「……っ」
後ろから私を呼ぶ声。
冬室くんがこっちに向かっていた。
カバンを持っているので、私と同じように帰るところみたいだ。
「……冬室くん」
「今帰り? 一緒に帰らない?」
「…………うん」
……あ。
私、声がちゃんと出る。
奥田さんたちといたときとは全然違う。
思えば、冬室くんと話すときはそんなに苦しくならないな。
それは単純に慣れなのか。
冬室くんの持つ柔らかい雰囲気のおかげなのか。
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