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買い物から帰ってきて。
ドサッと床に袋を置くと中身が転がり落ちた。
「あー」
身を屈めて、手を伸ばす。
落ちたそれを掴むとなんとなく視線を感じた。
「……?」
開けっ放しのドア、その向こうの廊下に張られた鏡。
その中の僕がこっちを見ている。
……にやぁっ。
鏡の中の、僕が、……笑った。
「え?
ええ?
え?」
混乱する僕をよそにゆっくりとドアが閉まり、ぱたんと音を立てた。
ピピピピピ。
目覚ましの音で目が覚める。
「……夢か」
ばくばくと早い心臓の音。
だらだらと流れる変な汗。
最悪な目覚めにで顔洗う。
顔を拭いてなんとなく見た鏡はいつ通り。
……ただの夢だし。
だから、背を向けた僕に鏡に中の僕がにやぁっと笑ってたなんて知らない。
【終】
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