小売店勤務 亜蘭純史(仮名)さんの話

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 あれは一昨年の春、私が勤める地方のスーパーが新しい支店を開いた時のことです。  新店舗の店長として赴任し、忙しい毎日を送っていました。  一か月が過ぎたころでしょうか。私は全身にだるさを覚えていました。特に首から肩にかけて重い感じです。  振り返れば開店準備からオープンのあとまで、ほとんど休みなく働いていました。それは初めて任された店をなんとか軌道に乗せようと、がむしゃらになっていたからです。だからそのツケが来たのだろうと、その時の私は思っていました。  ある日、売り場で弁当を買い、休憩室に向かいました。  休憩室は店舗の二階に設けられています。二十畳ほどの広さがあり、テーブルと椅子が並べられ、お茶や食事を摂れるようになっています。その一角には四畳ほどの畳敷きのスペースがありました。真ん中に座卓があり、そこでも食事などをとれるようになっているのですが、私にとってそこは仮眠のためのスペースでした。疲れた体を癒すため、昼休憩に食事をした後の余った少しの時間、畳の上で横になるのです。たとえ眠れなくても、目を閉じているだけで心身の疲れがましになるような気がしました。  その日も昼食を食べ終わった後、いつもの場所で横になり目を瞑りました。
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