17.ネイキッド

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「どういうわけか、貴様は儂を殺したくはないようだからな。この状況を利用させてもらうぞ」 フェンリルは“神威”によって、完膚無きまでに拘束された状態でも、恐ろしく冷静だった。 どうやら、この浮遊する尻尾だけで俺に挑むつもりらしい。 「本体でも勝てないのに、その切れ端が勝てると思ってるのかよ」 「軽い口が叩けるのも今のうちだぞ」 「あ……?」 フェンリルの言葉の意味はすぐに分かった。 俺を弄ぶように右へ左へと飛び交うフェンリルの尻尾。空中には、青白い光の軌道が残る。 俺はそれを目で追えなかった。 「なるほどね」 フェンリル自体も驚異的なスピードだったが、この尻尾はそれを優に超える。本体の二、三倍の速度はありそうだ。 頼みの“神威”はフェンリルの拘束に使っている。 「特異点(ジョブ)に頼るのはあんまり好きじゃないんだけどな」 こんなところで躓くわけにはいかない。 さっさとこんな関門はクリアして、強者のところに行かないといけないんだからな。 好き嫌いを言っている場合じゃないか。 久しぶりにやるか。 特異点(ジョブ)、発動。 ーーー〝創造主(ゼウス)
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