17.ネイキッド

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俺の特異点(ジョブ)、〝創造主(ゼウス)〟の能力は至ってシンプル。 ありとあらゆる物を創り出す能力。 創造物と、それを維持する時間によって、消費する死ミットが異なる。 また、創造物に対する理解が深ければ深いほど、完成度も高くなる。 ありとあらゆる物の中には、強力な武器や防具も勿論含まれている。 それは俺のSレート武器、“神威”も例外ではない。 俺の目の前に現れる包帯の塊。 “神威”の特性をほぼ完全にコピーした創造物。 性能は殆どオリジナルと変わらない。 「四の型、〝玄武〟」 新たに創造された“神威”が俺の肉体に巻きつく。 完成度を限界までに高めているとは言え、本物と比べると多少の違和感は禁じ得ないが、全くもって問題のないレベルだ。 レートSの武器の創造となると、コストも大きい。 “神威”の場合は、一分につき三十分の死ミットを消費する。 「あんまり悠長にはやってられないんでね」 “神威”の装着を終えた俺は力強く地面を蹴った。 四の型、〝玄武〟の特徴は、“神威”自体を肉体に装備することによる、身体能力の向上。そして、何よりも防御力の大幅な向上だ。 右斜め上方からこちらへ迫るフェンリルの尻尾。 ほとんどは視認できない。 来る方向くらいは追えるが、避けるのはまず不可能だろう。だが、問題ない。 キィンと金属音にも似た鋭い音が耳に響く。 フェンリルの尻尾が俺の脇腹で止まっていた。辛うじて、先端だけは包帯部分に僅かにのめり込んでいるが、所詮はその程度。 どんなにその尻尾が鋭く、強靭であっても、この“神威”の鎧を貫くことはできない。 無敵の鎧。 それが四の型、〝玄武〟。 「卑劣だと思うか?」 俺は動きを停止したフェンリルの尻尾を、“神威”でグルグルに巻き付けた。 フェンリルは何も言わず、こちらを見ているだけだった。 「これで今度こそチェックメイトだ。選ばせてやるよ、俺と共に来るか。ここで朽ち果てるか」 その目には、未だ勝機が見えているようにさえ思えた。 肉体も、頼みの尻尾も封じた今、奴に何が残っているというのか。俺は思考する。奴が見るその勝機とやらを。 「笑止」 フェンリルの口元が歪んだ。 果たして、俺の喉元に、何が届き得るというのか。
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