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「仕掛けがあるとすれば、こいつか」
ありとあらゆる可能性を考えに考え、その先に見つけた一つの敗因。
今、まさに俺の目の前で“神威”に包まれたこの尻尾。
「死ぬのは貴様だ」
「そういうことかよ」
尻尾を包み込んだ“神威”に青白い光が透ける。
この尻尾は切れ味が良いってだけのただの刃じゃない。この発光は、エネルギーの膨張だ。
つまり、この尻尾は……間も無く、爆発する。
「ちっ、伊達に魔物やってねぇな、馬鹿野郎が」
退避は間に合わない。
だとすれば、唯一の選択肢は防御。
俺は死ミットの代謝、つまりは、消費速度を最大限に高まる。腕に刻まれた数字はみるみるうちに減少し、俺の肉体を禍々しい黒い光が包み込む。
死ミットによる肉体の強化、そして、“神威”の装着による防御の強化。これら二つを持ってしても、持ち堪えられるか分からなかった。
そして、目の前が青白い光に包まれる。
衝撃が全身を叩き、身体が後方へ大きく吹き飛ばされる。肌が焼けるように痛い。肉体を覆う“神威”がゆっくりと剥げていくのが分かる。
それは、あまりにも長い衝撃だった。
筋肉が悲鳴を上げ、骨が軋み、肺が焼ける。
目はその閃光によって、一時的に光を失い、耳はとっくに聞こえなくなった。
死ミットによる強化があっても、これほどのダメージなのかと、俺はその破壊力に驚きを隠せなかった。
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