2.奇遇の季節

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やはり、秋人は目立つようで、この二人も彼の噂をどこかで耳にしていたようだった。 「今週の日曜日に渋谷に飛び出してナンパしてたとか聞いたけど?」 「あ、それは真っ赤な嘘だわ。俺らその日、海に行ってたから」 そう言って、秋人はポケットからスマートフォンを取り出し、週末に撮った夕日と海の画像を自慢げに見せた。 日付は今週の日曜。 アリバイはバッチリだ。 秋人はその海で水着ギャルをナンパしてたが、初対面で最悪な印象を与えかねなかったので黙っておくことにした。俺も共犯だと思われるのは癪だしな。 四人での会話は弾んだ。 この飲み会には30人以上も参加しているにも関わらず、俺たちのいるテーブルだけは別空間のようだった。 「サッカーとかフットサルやってたの?」 俺の素朴な疑問にナツメが答える。 「全然。私、スポーツ駄目だもん。冬美と歩いてたらね、あの綺麗な女の先輩に声掛けられて思わず来ちゃった」 「あ、奇遇じゃん! 俺らもそうなんだ! にしても美人だよなぁ、去年の学祭でミスコン獲ったらしいぜ」 二つ隣のテーブルで男に囲まれて飲んでいる噂の美人先輩は、俺たちの視線に気付いたらしく、小さく手を振ってくれた。 「あれ、もしかして俺に気がある?」 「安心しろ。完全にサービスだから」 そんなこんなで飲み会は日を跨ぐ頃まで続いた。 俺たちは連絡先を交換し、再会を約束して解散した。 結局、このフットサルサークルには入ることになりそうだ。
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