別れの日

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卒業式前日。 橙色の光が、人気のない教室を暖かく染めていた。 「椹木さんも、もう卒業ですか。」 先生はこちらに背を向けて言った。 「私がいなくなって寂しい?」 「そりゃ、寂しいですよ。あれだけ慕ってくれた生徒がいなくなるんですから。」 ー生徒、ね。 高校生活三年間全てをかけても、ついにそれ以上になることはできなかった。 私の初恋を捧げたと言うのに、先生はやっぱり酷い人だ。
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