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車で里見の所に行くと、端末を降ろす。
台車に乗せて運んでいると、家の中は台車でもいいなと気が付いた。
里見の部屋に行くと、里見はいつもと変わらず、外を向いていた。
「氷花さん、楽しそうですね」
「うん。家の中の移動は、台車の改良でもいいなと思ってさ」
信哉の車椅子を入れなくても、台車で運べる気がする。
田舎は椅子の文化ではなかったので、車椅子のままだと会話がし難い。
「僕には出張の土産もないのですか?」
そんなに範囲を広げて、土産を購入していなかった。
「仕事に行ったの。遊びではないから、土産はなし」
でもと、車に戻るとクッキーを持ってきた。
「仕事先で貰ったクッキー。これでお土産にしてね」
里見には、どうやって食べさせたらいいのであろう。
里見は、全身が生まれつき麻痺していて、口も動かす事ができない。
今も、会話は端末から出る電子音であった。
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