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啓一夫婦は子供に恵まれず、佳嗣の子供を実の子供のように可愛がっていた。
忙しい佳嗣夫婦の代わりに、啓一の妻は親になっていた。
佳嗣は、早くに両親を亡くしていたので、兄の援助で大学を出ていた。
この兄弟は協力しながら、生き抜いてきていた。
その弟が、兄まで自殺で失いたくないから、工場を閉鎖しようと案を出してきた。
その案は、専門家の分析があり、
今ならば、従業員の給料が払え、退職金に上乗せで終了できるが、
これから先はもうこの機会はないというものであった。
長年、働いてくれた従業員に、退職金は渡したい、
苦渋の選択で、啓一は案に賛成した。
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