第一章 木の上の神様

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 啓一夫婦は子供に恵まれず、佳嗣の子供を実の子供のように可愛がっていた。 忙しい佳嗣夫婦の代わりに、啓一の妻は親になっていた。  佳嗣は、早くに両親を亡くしていたので、兄の援助で大学を出ていた。 この兄弟は協力しながら、生き抜いてきていた。 その弟が、兄まで自殺で失いたくないから、工場を閉鎖しようと案を出してきた。 その案は、専門家の分析があり、 今ならば、従業員の給料が払え、退職金に上乗せで終了できるが、 これから先はもうこの機会はないというものであった。  長年、働いてくれた従業員に、退職金は渡したい、 苦渋の選択で、啓一は案に賛成した。
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