第五章 木の上の神様 五 

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「宍戸さんに繋ぎましたよ」  里見が、宍戸に回線を繋いでくれた。 宍戸は、種の冷凍保存を確認していた。 「宍戸、K商事を襲わなかったか?」  ストレートに聞いてみると、宍戸がチラリと画面を見た。 しかし、何事も無かったように仕事を続けていた。 「爆弾の作り方など、検索すれば出てきますよ」  それでも、この事件、宍戸が関わっているのならば、終わりではないのだ。 宍戸は事件を重ねて、死に意味を持たせる。 「注目させて、情に訴える。犯罪ではあるが、誰も被害者は出ていない。 どうして爆破などしたのか、普通の人がする程、深い事情があるように思える……」  人の心理に訴えて、弱い者の味方をするという正義がやってくる。 K商事はそこそこ有名であるので、そこで、どのような非道があったのか、 世間も気にするであろう。
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