第五章 木の上の神様 五 

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 宍戸も同じ弥勒であるので、B君の手口はよく知っていた。 しかし、B君の方が、ランキングが上になっているように、 信者数と実行数が桁違いに違っている。  だが、宍戸は弥勒の創設者であり、孝弘と出会わなければ一位であったと思う。  肉親に縁の無かった宍戸は、死のプログラムを作った。 ただ死んで消えてゆく生命に、光を再度当てる物でもあった。 「まず、爆破による被害者、怪我人がいいですね、それを公表します。 被害者が居れば、人は安易に加害者の味方ができません」  怪我人はいたのだろうか。 俺は、自分の会社の事件ながら、あまりにも興味を持っていなかった。  そこで、確認してみると、エレベータに乗っていた幾人かが、 煙にまかれて病院に搬送されていた。 「意識不明の重体にしておきましょう」  怪我人を出すというのは、B君の想定外なのかは分からない。
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