第五章 木の上の神様 五 

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「里見君?どうしたの」 「宍戸さんと話していると、氷花さんは素のままなんだと思いました」  同じ年なので、素になるのかもしれない。 里見の前だと、大人でいようという気持ちが働く。 「まあ、年が近いからかな」  宍戸との通信を切ると、時計を確認してみた。 君島の家に向かうまでには、少し時間がある。 「俺、これから恩師の所に行ってくる。特許の問題でね」  でもと、俺は床に胡坐をかいて座る。 「俺は、人の心が理解できないよね。里見君は、深くまで理解できる」  俺は祠堂の工場で見たり聞いたりしたことを、里見に説明してみた。
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