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「教え子が遊びに来たと、彼女は思っているのだけどね。君達二人ならば、違うよね」
「教え子ですよ」
でも、君島は用件を見抜いていたのか、特許の資料を見せてくれた。
「彼女は辺見君の奥さんでね。辺見君には、子供が四人いる。
二人は、氷花君が訪ねて行った、祠堂の兄弟だよ」
そんな事を、ここで言ってもいいのか。
俺が慶松の顔を見ると、慶松も俺を見ていた。
祠堂の兄弟が辺見の息子であるのならば、父親は自殺したと言った啓一は誤っている。
「私はね、生まれながらに女性が嫌いでね。まず、母親が大嫌いだった。
妹が生まれてね、これが又、殺したい程嫌いだった」
君島は、女性嫌いのまま成長し、祠堂と級友になった。
そこで初めて、女性を許す気持ちが生まれた。
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