第六章 夏は草に埋もれて

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 それは、その日の昼に発見された。 教師をクビになった佐藤が、図書館で首を吊って死んでいた。  図書館は校舎から離れていて、朝子は図書委員であった。 昼休みになると、図書委員が司書の先生の補佐をしていた。 図書館の資料室で、ひっそりと佐藤は首を吊っていた。  どうして、そう思ったのかは分からないが、朝子はその資料室に鍵を掛けようとした。 すると、佐藤のポケットの携帯電話が鳴っていた。 携帯電話の電源を切らなくては、不審に思われる。 電話を手に取ると、兄という着信であった。
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