188人が本棚に入れています
本棚に追加
「とんでもないことですか?」
「そうなのよね……」
君島は黙って聞いていた。
どうも、君島はこの事件を知っていたようだ。
君島の隣に、辺見も座っていた。
辺見は、朝子の息子のように見え、若く見えた。
辺見のどこが、若く見せているのか分からないが、啓一と兄弟と言っても頷ける。
それに、顔もよく似ていた。
「幸太郎の妻に連絡すると、泣き崩れて言った……」
佐藤は、学校側に挨拶するのを最後に、教職人生を終了する。
教職というのは、夢だったのに、こんな終わり方になるなんて、
自分の甘さが悔やまれる。
でも、生徒には咎めがないようにしたい。
佐藤の妻は、私に謝罪はないのかと、かっとなってしまったという。
妻も皆に謝り、近所に白い目で見られたのに、佐藤は生徒の未来しか考えていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!