第六章 夏は草に埋もれて

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 学校に行った後に、佐藤は図書館で本を返した。 そっと後ろを付いて行った妻は、そこで、佐藤の首に紐を巻き、首吊りにしてしまった。 夫が悔やんで死んだという、肩書があれば、 自分も両親に、近所の人に憐れんで貰えると思ったという。  首吊りではなく、殺人になってしまった。 「教職をクビの次は殺人ではね。それに、可哀想でね」  身内を、殺人者にしたくなかった。 殺人者になって、この人はどうやって生きてゆくのだろうかと、 佐藤の妻も心配になってしまった。 「そこで、考え込んでしまっていると。元凶の二人の男子生徒もやってきた。 どうして分かったのかな……」  先生が挨拶に来たと聞いて、探していたらしい。 そこで、死体を見てしまった。
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