第六章 夏は草に埋もれて

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 これが、入れ替わりの真相であった。 綿密な計算ではなく、偶然の重なりであったらしい。 その後、佐藤の妻が罪の意識で自殺してしまった。  保険金が入ったとしても、祠堂の工場は建て直せない。 そこで、祠堂は君島を訪ねた。 「驚いたよ。亡くなったと聞いて、絶望して生きている希望を失っていた所に、 本人が来たからね」  そこで、君島は残した工場の為に商品を開発して欲しいと頼まれた。 君島は、祠堂に週三日の家政婦で家に来る事を条件に出した。 「私は、先生への罪滅ぼしのように祠堂さんを見ていましたが、秘密の共有もあって、 一緒に生きて行こうと決めました」  そして、祠堂は、朝子と結婚し辺見孝太郎となった。
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