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「腕の中に愛しい人が眠るという感動で、私は浮かれてしまっていた」
辺見にとっては、君島が最初の男で、予定では君島だけしか男を知らないまま、
死んでゆくという。
「最初は驚いたけど、君島にあげられるものは、体以外に無かったからね」
どこか、温度差はあるが、君島と辺見は相思相愛らしい。
当時、辺見は商品の開発、君島との関係で家に戻る時間が減っていた。
辺見にとって君島との関係は、浮気というよりも本気になり、
しかもビジネスでもあったという。
新商品や新技術が、会社の存続の為には欲しかった。
「私は、そんな辺見君の弱みに付け込んで、体の関係を要求した。
辺見君を一から教えて、自分の好みに育てるのは、快感だった。
徐々に開いてくる肢体を見るのは、私の人生の全てだった……」
週に一回の関係を続けていると、辺見はどんどん洗練されて綺麗になっていった。
辺見も初めて、愛されるということを知ったのだ。
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