第六章 夏は草に埋もれて

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 その関係のまま、幾年も過ごしていた。 辺見も、次第に君島との関係を、家族に対しての裏切りと思うようになった。 それは、辺見も君島を愛し始めたからだ。  辺見は、残していく事になった息子に、叔父として仕送りをしていた。 「祠堂の妻は、入れ替わりを知らない筈でした……」  しかし、本当に気付いていなかったのかが、辺見の疑問であった。 妻からは、一度も連絡は来ず、確認も無かった。 それが、却って気付いていたのではと感じさせるという。 「彼女は、俺が君島と幸せになっていると知って、恨んでいたような気がします……」  妻は、何故、自殺したのか。 事故ともなっているが、辺見は自殺だと考えていた。
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