第六章 夏は草に埋もれて

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「会社の創設の口添えも、資金もその有力者が援助してくれました」  そして、祖父は四十歳で亡くなったが、その時まで関係は続いていた。 祠堂は、会社のための肉体関係と、自殺、そして保険金で綴られていた。 「……祠堂の男は、少年のように輝いていて、それでいていい男に育つ。 一度、手に入れてしまったら、手放せない……」  君島は、祠堂を理解していた。  そこで、辺見はビールを取りに行っていた。 「今も週一回は、辺見君を抱かないと正気でいられない。あの身体は、呪いだよ」  そう言われると、まじまじと辺見を見てしまう。 かなり細身ではあるが、しっかりと筋肉はある。 それに、年齢を感じさせない笑顔と、目の輝きがあった。 君島が手にいれたのは、きっとこの笑顔なのであろう。
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