第一章 木の上の神様

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 女性が連れて来てくれたホテルは、ごく普通のビジネスホテルで、 昭和の工場にいたせいか現代に戻って来た気がした。 「送っていただき、ありがとうございます」 「はい、お疲れ様です。ゆっくりと休まれてください」  女性が戻ってゆくと、シングルの部屋を二つ取った、 今日の空は、これで最後だと従業員が言っている。 同じく雨のせいで、帰れなくなった会社員が、ロビーで新聞を読んでいた。 「すごい雨ですね」 「君達も帰れなくなったの?俺もね、営業に来て泊まりだよ」  こんな場所に営業かと思っていると、ここにビジネスホテルがあるように、 この付近には大きな工場が点在していた。 それに、ここは先程降りた駅の一つ先の駅前であった。
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