第七章 夏は草に埋もれて 二

3/27
前へ
/604ページ
次へ
 放火魔はすぐに逮捕され、祠堂が大好きだから、秘密を燃やしてやったと言った。 放火魔と祠堂に接点は無かったが、近所には住んでいたので、 知り合いではあったのかもしれない。  他に放火された場所は、ボヤ程度であった。 「……秘密を燃やす?」  離れに、どのような秘密があったのであろうか。 遠見は、祠堂の離れの設計図を用意していた。 「茶室?」  小さな家で、茶室のような間取りであった。 しかし、設計図を描いた人は、かなり几帳面で、抜け道が用意されていたと分かった。 昔の武家屋敷のようで、部屋から外に逃げられる仕組みがあった。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加